C.S.T. (3) 情報通信保安庁警備部


C.S.T. (3) 情報通信保安庁警備部 (メディアワークス文庫)C.S.T. (3) 情報通信保安庁警備部 (メディアワークス文庫)
(2015/03/25)
十三湊

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これにて完結の最終巻。
この巻を読むまではSFミステリー的にも楽しみだったんだけど、最後はミステリーより恋愛や家族愛のほうに振り切った感じ。
事件に関する謎は消去法でいけばそうなるよなー、と予想のつく範囲から飛び出すことなく終結。
逆に伊江村の出生の秘密やそこから派生した歪な恋愛感の克服や、御櫛笥家の家族の絆に関してはがっつり掘り下げて描き切っていて、これまでの伏線もきっちり回収してる。

そのおかげで主人公たる御崎の見せ場らしい見せ場はほとんどなくて、本当に主人公か…?と思ってしまうほど。クライマックスの浅井とのやりとりくらいかなぁ、主人公らしかったシーンは。
逆に伊江村は、かつての友人とのやり取りや、隊長への御崎との関係宣言、黒幕との対面等々、作中半分くらい捜査から外されてたり誘拐されてるのに主要シーンにはほぼ全て絡んでくるとか、ほんま主人公の鑑やでえ。


1巻から3巻まで通してみると、SF的には失速したけどラブコメ部分は最後まできっちり書けてて良かった。山上さんも本人的には幸せになれそうな終わり方だったし満足。

伊江村は間違いなく面倒可愛い!