夜想譚グリモアリス1〜3/幻想譚グリモアリス1〜6

        



本棚シリーズ第六弾。
いろいろ出てくる出てくる。
これは今はなき富士見ミステリー文庫から始まったグリモアリスシリーズ。個人的には海冬レイジの出世作だと思ってます。代表作は今ならマシンドールだよね。バウト!は読んだことないのです。

内容は、元々が富士見ミステリーからの刊行だったため、中身もそれに合わせたファンタジー色のあるミステリーになってます。異能が絡んだ事件の犯人を、普通の人間たる主人公が頭脳でもって追い詰めていく様は非常にすっきりしてて読んでて面白かったです。
このシリーズは富士見ミステリー文庫後期から終焉にかけての作品なんだけど、ミステリー文庫の終焉とともに富士見ファンタジア文庫へ移籍。その際に内容も異能バトルがメインになって、ミステリー色が薄くなったのが残念でした。
まあでも主人公が頭脳でもって異能者に戦いを挑むっていう構図は変わらなかったので、面白さの方向性はあまり変わりませんでしたが。

ちなみにこの作品は割りと激動の時代を生きておりまして、ファンタジア文庫へ移籍してからも、レーベルのカバーデザイン変更のあおりをくらい、初版で集め続けてた人間にとっては1巻だけカバーの装丁が違っており、棚に並べた際、「富士見ミステリー」「旧ファンタジア」「新ファンタジア」のカバーの並びになってとんでもないカオスに…
表紙も昔のファンタジアは表紙が白枠の中に納まるようになってるせいで、せっかくの綺麗な拍子が、幻想譚1巻だけ表紙のイラストが小さくてガッカリです。ミステリー文庫時代は表紙の気合の入り方が半端なくて表紙買いしても後悔しないくらい好きだっただけに、旧デザイン1巻は本当に勿体無い。
まあこれも初期から追いかけてきた特典として記念の思い出ってことで。

ぶっちゃけ富士見ミステリーは初期から終焉まで色々と迷走し続けたレーベルではあったけれど、後期表紙デザインだけは考えた人天才だと思うね。
表紙から裏表紙まで続く一枚絵のイラストとか、ラノベの表紙魅力を最大限活かすデザインの1つじゃなかろうか。
もちろんあらすじが見える範囲になくなってしまうというデメリットはあるけど、ただまあ当時はまだラノベシュリンクがそこまで普及してなかったっていう背景があるからそこまでデメリットにはならなかったんじゃないかなぁ…
少なくとも自分が行きつけてたお店は1店舗だけビニールの帯付きで後はむき出しで置いてたしね。

途中のレーベル方向性の転換といい、色々と実験味溢れるレーベルですわ。そのアドベンチャー精神に敬意を表します。